まっくら










枕さん、


枕さん、


戦争が起こりませんように。







枕さん、


枕さん、


世界が平和でありますように。







枕さん、


枕さん、


明日はママとパパと龍太と笑ってご飯を食べれますように。







枕さん、


枕さん、


ママがもう殴られませんように。







枕さん、


枕さん、


どうか、


どうか、いい夢みさせて下さい。



















18時00分:母親がうちらにご飯を食べさせ、父親の仕事を手伝いに向かう準備を始める。



19時00分:こたつに座って、化粧が始まる。 



19時30分:真っ暗は嫌だから、それより先に眠りにつく。



20時00分:真っ暗の中、止まない電話が鳴り響く。






目覚めたら最後、


明け方まで26個の『鍵が開いてるかもしれない病』に襲われ、動物園のアレみたいに何度も何度も戸締まり確認を繰り返すんだ。











あの時、ナンバーディスプレーがあったら良かったのにな。



でも『二回コール音が鳴って切れる』が二回続けばママとか秘密の暗号があったっけな。



なぜなのか、たまに暗号がバレて、無言が突き刺してくるか、「出ていけ!」って叫ぶ女の人だったな。



あの女の人、今の自分位の年齢の女性なのかな。



元父親って言うあの男の人は、余程酷い事したんだろうな。



しかし、あの女の人家に来た時うちの母親をどうするつもりだったんだろうな。



でも、可愛そうに。子供に「死ね!」とか「出ていけ!」とか言わなきゃいけない程に追い詰められていたんだろうな。



あの男の人、『仕事』とやらで、うちに帰ってくる時なんてたまにしかない癖に、物凄く偉そうだったな。







骨の音、


殴る音も蹴る音ももう聴きたくなかった。


















思い出した。







なんか副業の休憩中に泣けてきた。


そんな自分が馬鹿みたいだなって笑えた。